<本の姫>は謳う〈2〉
2008.3.25. / 中央公論新社
母が病に倒れたとの知らせに7年ぶりに故郷へと向かうアンガス。
故郷の変貌ぶりに驚きながらも、蔓延している<忘れ病>に文字(スペル)の気配を感じて調査を始める。
一方、セラはアンガスの過去をエイドリアンから教えてもらう。
シリーズ第2弾。
アンガスの過去は、壮絶なまでに重かったです。
いやぁ、本当…重い。
エイドリアン、頑張って語ってくれました。
今回は色々と急展開。
アンガスの物語と並行して展開されている「俺」の物語も急展開。
どちらもハラハラしながら読み進めて行きました。
セラの変貌ぶりにもビックリ。
アンガスだけではなく、セラの過去にも迫ります。
人生の分岐点は本当に色々あって、その中で出会った大切な人たちやそうでない人たちのことも、ずっとずっと自分の中に刻まれていくのでしょうね。
アンガスはよくもまぁ、あんなに壮絶な過去を乗り越えてきたなと思います。
もちろん、姫との出会いが大きかったのでしょうが。
俺とリグレットの出会いも熱いものでした。
俺が変わって行く様も新鮮でした。
続きがどうなるのか楽しみです。
知りたいと思う真実が隠蔽されることなく、万人に平等に開示される。すべての情報は、本来そうあるべきなんじゃないか?
目の前に倒れている者がおれば助ける。それは自然の成り行き。生きるのに資格も価値もなかろう
人は誰でも必ず死ぬ。(中略)だからそう死に急ぐもんじゃない。生きるってことはな、これでなかなか面白いことなんじゃよ
腹がいっぱいってことは、幸せってことだ
吐くまで喰うな。喰ったら吐くな
憎しみで生きる者は何も生み出さず、憎しみで歌われる歌は世界を滅ぼす
夢を呪縛と取るか、希望と取るかは貴方次第なのよってな。
人は誰であれ、何かを恐れ、不安におののきながら生きている(中略)だがそれを言い訳にするな。最初から強い人間などいはしない。
怒りが熱い油のように煮えたぎっても、憎んではいけないのですわ
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〈本の姫〉は謳う1
2007.10.25. / 中央公論新社
――ここは「文字」の無い世界。
「滅日(ほろび)」により世界中に散らばった恐ろしい力を持つ「文字(スペル)」。
少年アンガスは<本の姫>と共に文字回収の旅を続けている。
ある日、文字を求めて天使の遺跡に辿り着いたアンガスは悪者たちに連れられていた少女と出会う。
シリーズ第1弾。
前作、『煌夜祭』を読んでから2年半。
ようやく、著者さんの次の作品を読み始めることが出来ました。
冒頭の
この世界は、言うなれば本のようなものだ。
から始まる序章の中の
すべての本は読まれるために存在する。本が読まれなければ物語は始まらない。
という言葉に、ズキュンとやられました。
読みたい本がいっぱいあります。
でも、読まないと分からないんですよね。
この世界では「文字」というものが存在しません。
代わりにあるのは「スタンプ」というもの。
「文字」の無い世界――普段これだけ沢山の文字に囲まれて、文字からの情報を得ている者としては想像し難いです。
「文字」の無い世界で生きる難しさ、また逆に言えば「文字」の有る世界で生きられる幸せを感じながら物語の世界を旅しました。
アンガスの冒険の他に、もうひとつ「僕」の物語も交錯しながら展開していきます。
これは全四巻からなるシリーズの第1弾です。
本の姫がどうなって行くのか、文字回収の旅がどうなるのか、これからもアンガスの旅を応援しながら続きを読みたいと思います。
煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)
【あらすじ】
十八諸島が臨界するこの世界。
各地の話を集め伝え歩く語り部たちが、冬至の夜に島主の館にて夜通し語り明かす祭り・・・それが煌夜祭。
今年もまた荒れ果てた島主の館の前で始まった二人だけの煌夜祭。
さぁ、耳を傾けよう。悲しき魔物の物語に…
第2回C★NOVELS大賞受賞作。