僕は何度でも、きみに初めての恋をする。 (スターツ出版文庫)
2015.12.28. / スターツ出版株式会社
家庭の問題を抱えている女子高生のセイは、ある日寄り道をした公園で不思議な雰囲気の少年・ハナと出会う。
そんなハナは、記憶が1日しか持たないというのだ。
共に過ごす時間の中で、それぞれの悩みを分け合う二人。
だが、現実はその厳しさを増していき…
自分が綺麗だと思った瞬間を写真で切り取り続けるハナ。
最初分からなかった彼の言葉の意味も、彼の症状のことを知ると、その言葉の重みが格段に違いました。
セイの抱えている悩みもとても辛いもので、それは彼女だけの力では乗り越えられるものではありませんでした。
ハナと出会い、束の間の幸せを感じるセイ。
でも、現実は厳しく彼女たちに襲い掛かってきます。
写真を通じて、ハナとの時間を通じて、セイの中に訪れた変化。
ハナの行動を通して、自分を顧みて、動き出したセイ。
そして、そんなセイを動かしたハナ自身の持つ悩みを、今度はセイが寄り添おうとします。
このふたりの関係が、とてもあたたかくて、だけどとても切なくて、涙が出てきました。
若いからこそ出来ることと出来ないことがあります。
お互いがお互いにとってとても大切な存在となっていく過程、だからこそ余計に辛くなる時間の経過。
それでも、前に進んで行こうとする二人の姿はとても力強く、応援したくなります。
読了後には、何とも言えない悲しさと、それでも微かに光る希望とが残りました。
私も自分の大切な人との時間を大切に、自分の中に残して、前に進む力にしていきたいです。
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