探偵・日暮旅人の探し物
2010.9.25. / 株式会社アスキー・メディアワークス
視覚以外の感覚が無い、日暮旅人。
彼はその視覚で、他の人には見えないものを“視る”ことが出来る。
そしてその視る力によって探し物をするのだったが…
シリーズ第1弾。
以前から気になっていた作品のシリーズ第1弾をようやく読むことが出来ました。
視覚以外の感覚が失われた状態…五感の中のひとつでも低下したり失われたりしたらと想像するだけでも怖いのに、彼は視覚だけを頼りに生きています。
そんな状態なのに穏やかで、時に強く、そして何らかの信念と目的を持っているんです。
彼が本当に探しているものは何なのかを知るためには、シリーズを読み進めていかないとな、と思います。
彼の娘・百代灯衣との関係や、保育士の山川陽子との繋がりなど今後の展開が気になります。
また少しずつ読んで行きたいです。
2017.02.27(Mon) | 【や行】:山口 幸三郎 | cm(0) | tb(0) | ▲
QED 龍馬暗殺
2004.1.10. / 株式会社講談社
高知県の山奥にある蝶ヶ谷村。
崇と奈々がこの村にある知人の家を訪ねた時、土砂崩れが起こる。
閉ざされた空間で起こる殺人事件。
龍馬暗殺の謎を解き明かしながら、事件の核心へと近付いていく。
シリーズ第7弾。
幕末の混乱の中に登場した異端児であり、ヒーローともされる坂本龍馬。
彼の暗殺事件は未だに謎に包まれている部分が多い。
そんな謎がどんな風に解き明かされていくのかな、と思いながら読んでいたら、とんでもない事件が発生した。
閉ざされた空間であんなに殺人事件が起こるなんて、そら恐ろしい。
暴風雨の夜だからさらに恐ろしい。
人間関係というのはどこに行っても複雑で、すれ違いなんてざらにあるんだなぁ、と。
崇は相変わらず飄々としているんだけれど、本当にその知識量には驚かされる。
今回は奈々の妹の沙織も登場して、崇の独壇場では無い感じがまた新鮮で面白かった。
最後は、私的には切なさが残る結末だったな。
今回は読むのにいつも以上に時間がかかった気がする。
それでも、またシリーズの続刊も読んでいきたいと思う。
今度はどんな謎に出会えるかな。
世の中の人は何とも言わば言え、我為すことは我のみぞ知る
2017.02.26(Sun) | 【た行】:高田 崇史 | cm(0) | tb(0) | ▲
風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?
2016.6.20. / 株式会社 講談社
遺跡発掘の為に、再度チベット・ナクチュ特区を訪れたハギリたち。
遺跡調査を進める中で、もう一つの遺跡の存在を知ることとなる。
そこでハギリたちに新たな出会いが訪れる。
シリーズ第3弾。
先に4弾を読んでいたので、ようやく3弾を読めて繋がって来ました。
なるほど、あの人とはここでこんな風にして出会ってあんな風に4弾で展開していったのだな、と。
今回の戦闘シーンは割と心静かに読み進められたかな。
ハギリにとって大きな転換期のような感じもしました。
といっても、毎回転換期が訪れているような気もしますが…
ウォーカロンと人間の違い――そこには大きな壁があるようで、ないようで。
命とは何か、繋ぐとは何か、またまた考えさせられました。
シリーズ最新作が出るのを楽しみに待とうと思います。
目の前に相手がいて、時間とスペースを共有している状況とは、やはり特別で貴重な環境なのだ。
万物は流転する。自然とは、そういうものなのだ。星でさえ、寿命がある。変わらず永久に存在し続けるものはない
2017.02.17(Fri) | 【森博嗣】:Wシリーズ | cm(0) | tb(0) | ▲
天使は奇跡を希う
2016.11.10. / 株式会社 文藝春秋
今治の高校に通う新海良史。
ある日彼のクラスに天使の星月優花が転校してきた。
彼女の正体を知った良史は、彼女が天国に帰るための手伝いをするのだったが…
天使ですよ、天使。
羽が背中から生えている姿を見たらビックリしますよね。
で、良史が優花が天国に帰る手伝いをしていくのですが、読み進めて行くとそこにはある秘密が隠されているんです。
それがまたジーンと来てね。
そんな青春もあるんだなぁ、と。
良史の幼馴染の村上成美と越智健吾も加わって、楽しくて切なくて甘酸っぱい青春物語が展開されます。
凄いのですよ。濃いのですよ。ああ、良かったなぁ。
読み終わってまた読むと、これが違った色味を帯びてくるのです。
人を想う力というのは凄いね。大事な人をもっと大事にしようと思いました。
2017.02.16(Thu) | 【な行】:七月 隆文 | cm(0) | tb(0) | ▲
神の時空 ―五色不動の猛火―
2016.7.6. / 株式会社講談社
都内で連続放火殺人事件が発生した。
狙われたのは、碑文谷女子大付属高校の16歳の生徒だった。
彩音たちは江戸五色不動が狙われていると思い、現場に向かう。
シリーズ第7弾。
今度は東京で事件発生です。
江戸五色不動のことは知りませんでした。
江戸で大火が何回も発生していることも詳しくは知りませんでした。
八百屋お七だけではなくて、他にもあったんですね。
今回は現在と過去がリンクしているところもあって、不思議な感覚で読ませていただきました。
今までよく耳にした話の裏側には、そんな昔の人々の営みや思いがあったのか、としみじみと思います。
みんな必死に生きていたんですよね。
今の私に昔の激動の時代を生きた彼女たちのように生きれるか、と言うと、無理だなぁと思います。
昔の人は凄い。
昔に比べたら今はなんと恵まれている時代なんだなぁ、と思います。
それとも、私が知らないだけで今もきっと色々あるんでしょうね。
今自分に出来ることと言えば、今の自分に出来ることを精一杯やって、前に進んで行くしかないですよね。
物語もいよいよ佳境に近づいていると感じます。
今回は陽一くんの過去も少し知ることが出来ました。
摩季の初七日まであとわずか。
どんな結末を迎えるのかを楽しみに、新刊が出るのを待とうと思います。
時間は有限、問題は無限じゃというのにな
恨みを抱えて呻吟している怨霊がいれば、人々は当然、彼らが何に対してそんなに恨みを募らせているのかと考える。だから、怨霊を作り出してしまった人間は、決してその存在を認めようとしない。この世にそんなモノはいないのだと主張する。そして、他の人間に向かっても、そんなモノを信じるなと強要する。
2017.02.15(Wed) | 【た行】:高田 崇史 | cm(0) | tb(0) | ▲
黄金の烏
2014.7.20. / 株式会社 文藝春秋
八咫烏が統治する山内で仙人蓋と言う危険な薬が出回っていた。
それを追ってきた日嗣の御子は、雪哉を伴い独自の調査を行う。
その最中、ある村で村人を喰い尽した凶悪な大猿と出会う。
シリーズ第3弾。
第2弾でも登場した雪哉が再び登場します。
「真の金烏」とは何か…ついにその秘密も明らかになって、驚かされるばかりです。
今回は危険な薬の調査。
大猿はどこから現れたのか、様々な憶測が雪哉たちを翻弄しながらも物語は進んで行きます。
八咫烏というものの在り様についても少しずつ明らかにされていき、益々面白くなって来ました。
今回は大猿という強敵も登場して、ハラハラする場面も多かったです。
人の欲というのは恐ろしいもので、どこでどう道を間違えるか、それとも踏みとどまるか、難しいんでしょうね。
奈月彦が「真の金烏」として君臨するその日まで、この山内がどうなっていくのか、これからも楽しみに読ませていただきたいと思います。
2017.02.08(Wed) | 【あ行】:阿部 智里 | cm(0) | tb(0) | ▲
パンゲアの零兆遊戯
平成28年11月20日 / 祥伝社
“未来が見える”能力を持つとされる者たちによって繰り広げられる究極の頭脳&心理戦――パンゲア・ゲーム。
その力を持つ者たちは、特別感受性保持者――エスタブと呼ばれている。
世界を左右するとされるエスタブたちの勝負の行方は…
未来が視えるってどんな感じなんだろう。
7人のエスタブたちがパンゲア・ゲームで戦って行く様は見てるだけでクラクラしそうな緊張感がありました。
常人ならざる者たちの恐ろしいまでの頭脳戦と心理戦。
いやぁ、凄かったです。
また章が変わるごとに挿入されているミキワカコさんの装画が素敵で何回も見返しながら読みました。
ソウルドロップシリーズに登場したあの人もチラッと出てきたりして、ちょっとワクワクしました。
もちろん、シリーズを読んでいなくても楽しめると思います。
私はソウルドロップシリーズだけしか読んでいないので、他のシリーズの登場人物が出てきていても分からないというのもありますが…
難しいけど楽しい、そんな一冊でした。
他人にどう思われるかを気にしてばかりいられません
難しく考えるな
プライドとは結局、自分の心の中だけの問題になる。
未来を読むことは特別なことでもなんでもない。誰だってやっていることだ。
心には限りがあり、基本的には消耗品なのだ。限界が来れば、以前にできていたことが不可能になる。
2017.02.04(Sat) | 【か行】:上遠野 浩平 | cm(0) | tb(0) | ▲
異人館画廊 当世風婚活のすすめ
2016.9.21. / 株式会社集英社
成瀬家に代々伝わる禁断の絵が何者かに盗まれた。
図像術が使われているかもしれないその絵の捜索を頼まれた千景と透磨。
一方、成瀬家の次期当主候補が遺体で見つかり…
シリーズ第4弾。
千景の過去にまた少しずつ近付いて行きました。
図像術と言うものは恐ろしいほどの力を持っていますね。
人を狂わせていく、恐ろしさがあります。
千景の過去と透磨の過去はどのようなものだったのか、とても気になります。
ふたりの関係が少しずつ変わって行っているような感じが見受けられて、今後どうなって行くかも気になります。
色々な誘惑に惑わされないように己を強く持ちたいものです。
既刊されている最新刊に追い付いたので、また最新刊が発行されるのを楽しみに待ちたいです。
誰も、心の底から求めるもののために行動できるわけじゃない。(中略)自分が真に欲するものを知ることは難しいのだ。
香彩七色 ~香りの秘密に耳を澄まして~
2013.6.25. / 株式会社アスキー・メディアワークス
秋月結月は犬並みの嗅覚を持つ女子大生。
ある人との出会いがきっかけで、今まで何気なく嗅いでいた香りの世界の奥深さを知ることとなる。
香りに導かれるように、秘密が明らかになっていくアロマミステリー。
世の中には色々な香りが漂っています。
自分で嗅ぐことの出来る香りもあれば、嗅ぐことの出来ないレベルの香りもあります。
香りの表現も人それぞれで、この本ではひとつの香りについて結月の表現と結月が出会った千尋の表現が違っていてそこもまた興味深かったです。
香道というものについても、知ることが出来て面白かったです。
この本では3つの香りについての物語が描かれています。
どれも優しくて、そしてちょっと切ない物語です。
千尋に出会うことで今までの自分の世界の見え方が変わった結月。
香りに導かれて出会った人々と、彼らの秘密。
香りって奥深いですね。
確かに自分の好きな香りに出会うとほっとして癒されたりします。
目に見えないけれど、そこにあって、そして心に届いてくるもの。
香りの他にも存在する、そんな目に見えないあたたかくて優しいものたちを、私も大事にしたいなと思いました。
この世界にはね、目には見えないけど大事なものの方が、ずっと多いんだ
目に見えるものだけが、この世のすべてじゃないってこと
その人にはその人の、思い出の味や香りがある。それはきっと、どんなに歳をとっても変わらないものだ。
他人のすべてを、理解しようなんてことは不可能だ
2017.02.01(Wed) | 【あ行】:浅葉 なつ | cm(0) | tb(0) | ▲