騙王
2011.7.25. / 株式会社アスキー・メディアワークス
ローデン国の第二王子フィッツラルド。
父王からは疎まれ、第一王子の兄からは刺客を送られる日々。
生き残る為に、己が全てをかけて騙り尽す少年の物語。
第17回電撃小説大賞4次選考作。
面白くて惹き込まれて時間を忘れて一気に読みました。
弱冠16歳にして生き残る為に、孤独とも言える壮絶な戦いを繰り広げて行くフィッツラルド。
その戦いは、身体も頭脳もフル回転の凄まじい闘いでした。
特に、頭脳面。
一体どこまで先を読んでいるのか。
色々な相手に対してありとあらゆる手段を使って騙していくその様は、豪胆に見えて繊細でかつ狡猾で、彼が今までに経験してきた凄まじいまでのものを物語っています。
悲運の第二王子の座から国王の座を目指す少年の壮大な物語です。
華やかに見える王族たちの世界に渦巻く陰謀や、様々にのしかかって来る責任というのは、いつの時代も壮絶ですね。
その鋼の精神力を見習いたいものです。
続刊があるとのことなので、そちらも是非読んでみたいです。
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パラダイス・クローズド THANATOS
2008.1.10. / 株式会社講談社
周囲の者が次々と死んでいき「タナトス(死神)」と呼ばれる少年・美樹と、その双子の弟で探偵役を務める真樹。
彼らがミステリー作家から小笠原諸島の孤島に招待された時、事件が起こる。
孤島の密室で起こった殺人事件。
犯人は、この中に居るのか…!?
第37回メフィスト賞受賞作の、シリーズ第1弾。
数年前から気になっていた本をようやく読むことが出来ました。
美少年双子の登場です。
美樹と真樹の不思議な関係もあると言えば、あるのですよね。
美樹の魚蘊蓄がとにかく凄かったです。
真樹も若干17歳にしてそこまでの経験を積んでいるとは…という感じで驚きです。
孤島の密室での殺人事件。
本格ミステリです。
どのように展開していくのかなと思いながら読み進めて行けば、まさかあのような展開になるとは…という感じでした。
裏をかかれました。
美樹の魚蘊蓄はもう凄過ぎて難しくもあってなんともいえないのですが、最後には真樹にしてやられた感があります。
この美少年双子、美樹の持つ死神体質により壮絶な経験をしているのですよね。
また、この二人を警護している高槻の苦労も計り知れません。
今回登場したミステリ作家たちを見ていると、少年の双子と比較して大人の汚い部分というのを見せられた感じがします。
これから先もシリーズが続いているので、折に触れて読んでみたいです。
2017.11.21(Tue) | 【ま行】:汀 こるもの | cm(0) | tb(0) | ▲
神の時空 前紀 ―女神の功罪―
2017.9.6. / 株式会社講談社
潮田誠教授が主宰する天橋立へのバスツアーで起こった事故の全容を解き明かす。
事故の2年前に、潮田教授が在籍する大学の関係者が次々と野犬らしきものに殺された。
教授の助手の永田遼子は、神功皇后について調べていく内にあることに気付く。
シリーズ第9弾にしてエピソード0の一冊。
今回は、陽一たちは出てきません。
その分、不思議な感じもしたし、ああこれが始まりだったんだな、と思いました。
全てが始まったとされる天橋立バスツアーの全員死亡事故。
なぜ、潮田教授があのようなツアーを主宰したのか、どうして事故が起こったのか、その全容が分かります。
その過程で明かされていく神功皇后の記録。
そういう考え方もあるのか、と思いながら読んで行きました。
読了後は、なんとも悲しくてやるせない気持ちになりました。
うーん、歴史は奥深いですね。
そして、とても難しいです。
今回も高村たちはとても怖かったです。
2017.11.17(Fri) | 【た行】:高田 崇史 | cm(0) | tb(0) | ▲
古書カフェすみれ屋と悩める書店員
2017.3.15. / 大和書房
「この本、買っていただけませんか?」
すみれ屋の古書スペースを担当する本のソムリエこと紙野くん。
彼が、悩みを持つお客に提示した本の中にはその悩みを解決するヒントが隠されているという。
初デート相手の態度に対する悩み、書店員の悩み、高齢となった家族の悩み、恋人から別れを切り出された悩み…
今回も、彼に薦められた本で人生が変わった人たちの物語が紡がれていく。
相変わらずの紙野くんの博識ぶりに圧倒されながらも楽しく読ませていただきました。
すみれ屋にも、すみれ自身にも変化がありました。
37歳というすみれと、32歳という紙野くん。
ふたりの関係がどうなるかなってのも楽しみのひとつではあるのですが、やはりこの物語の主軸は「本の持つ力」なのでしょうね。
紹介されたどの本も読んだことはないのだけれど、説明を見ていると読みたくなるから不思議。
著者さんの文章の巧みさ、本への愛情が伺えます。
紹介されるのは本ばかりではありません。
美味しそうな料理も毎回紹介されて、食べたくて仕方ありません。
個人的に紹介された本で印象に残ったのは、4つめの物語で紹介された本ですね。
私は、中々色々なジャンルの本を読むことが出来ないのですが、いつの日か手に取ってみたいと思いました。
また新作が出るのが今から楽しみです。
たとえつい昨日製本された本だったとしても、はるか昔に書かれたその中身はときに数千年の時間や、数千キロもの距離を飛び越えて読む人のところへ届くんだから
D坂の美少年
2017.3.21. / 株式会社 講談社
生徒会長・咲口長広の卒業が迫り、生徒会長選挙が行われることになった。
ところが、最有力候補とされていた女子生徒がひき逃げにあったのだ。
美少年探偵団では、この事態に対して眉美を生徒会長候補として擁立する計画を立てたのだ。
シリーズ第6弾。
美少年探偵団の中でも刻一刻と時は変化していきます。
美少年探偵団副団長のナガヒロがもうすぐ卒業を迎えるだなんて、早いなぁ、と。
この生徒会長選挙、ただの生徒会長選挙ではありません。
色々裏があるみたいです。
今回はいつにも増して眉美がキレッキレな気がしました。
美少年探偵団の他の面々と、眉美のやり取りが面白くて面白くて。
改めて、凄いメンバーですよね。
新たな出会いもあったり、無かったり。
彼らの、キラキラ輝いている今という時間の煌きが眩しくて、羨ましくもありました。
生徒会長選挙の結果も、感慨深いものがありました。
選挙戦の最中に怖い出来事もありましたが…
次の展開がどうなるのか、ハラハラしながらもワクワクを与えてくれた一冊です。
美少年探偵団は、本当に凄いですよ。
次作も楽しみです。
2017.11.03(Fri) | 【な行】:西尾 維新 | cm(0) | tb(0) | ▲